美少女スイッチホッピング 第2話「凍・結・乙・女」 檜山修之「これが!前回の美少女スイッチホッピング!」 ホッピング「私ってホント、ダメダメだよね…」 チェーンアレイ「失敗したって『お前が頑張った』って事実は残るだろ?         この世に無駄なモンなんかねえって!」 チェーンアレイ「結果なんか後から考えろ」 ホッピング「わ、わかった…やってみます!ホッピング、オン!」 シュウン チェーンアレイ「正義の鉄槌、食らいやがれえええ!!!」 ドゴオォォォン <屋上前の踊り場(リミットブレイク部部室)> チェーンアレイ「1997!1998!」 ホッピング「な、なんかチェーンさん…       毎日腕立ての回数増えてってない?」 チェン「あたぼうよ、俺は日々パワーアップするスイッチだからな!」 ホピ「あはは…体、壊さないでくださいね」 チェン「てかホッピング、お前も見てるだけじゃなくて何かやれよ!」 ホピ「え?わ、私?」 チェン「自分を変えてえんだろ?     その努力するための リミットブレイク部だぜ」 ホピ「うーん、そうなんですけど…何から始めたらいいかなあ」 チェン「ったく世話が焼けんな。しょうがねえ、俺がメニュー考えてやるよ。     おし、まずはグラウンド10周だ!」 ホピ「えええ?!じゅ、じゅじゅじゅ10周??!!」 チェン「なんだ、これでも大まけにまけてやったんだぜ。     俺なら50周は軽いからな」 ホピ「1周でも息きれちゃうのに…    ていうか、ランニングと自分変えるのに どんな関係が…」 チェン「知らねえのか?健全な精神は、健全な肉体に宿るっ!     お前も俺みたいな体になりゃ、中身もたくましくなれるってもんよ」 ホピ(チェ、チェーンさんみたいになるのはちょっとなあ…) ホピ「い、今から走り始めたら 日が暮れちゃわないかなあ」 チェン「そう思うならほれ、とっとと行け!     今から10秒遅れる毎に 1周プラスな!」 ホピ「え、えええっ?!い、いってきます!!」 タタタタッ <校庭・グラウンド> タッタッタ ホピ「はあっ はあっ…や、やっぱりキツいよお…    でもチェーンさんが私のために考えてくれたメニューだもんね、    頑張らなきゃ…」 タッタッタ ドンッ ホピ「きゃっ!ごごごめんなさいっ!!」 フリーズ「ん?いいよ別に。こっちもボーッとしてたし」 ホピ「あ…えっと、あなた確か…」 フリーズ「No.32、フリーズスイッチ。えーっとアンタは…」 ホピ「あ、ホッピングっていいます、初めまして!」 フリ「ああ…アンタがあの有名な 学園一のドジっ子ね」 ホピ「うっ(グサッ) ひ、否定できないけど…    ていうか私 そんな有名だったんだ…」 フリ「何もない所で転ぶ、箸の上下を間違える。マニア向けキャラだよね」 ホピ「ま、まにあ向けって…(はっきり言う子だなあ…)」 フリ「で、そんな稀代のドジっ子がなに?運動部でも始めた?」 ホピ「えと、運動部じゃなくって。    『リミットブレイク部』っていうんです」 フリ「なにそれ。脚にドリルつけてキックする部活?」 ホピ「あはは、違いますよw とにかく何でもいいから、    自分の限界に挑戦する!っていう部活なんです」 フリ「ふーん…で、アンタは苦手な運動に挑戦中ってわけ」 ホピ「ていうより…ちょっと恥ずかしいんですけど私…    どんくさい自分を変えたくって。    それなら、まず体を鍛えたらいいんじゃないかってチェーンさんが」 フリ「チェーンさん?ああ、チェーンアレイ    (この子とチェーンアレイ…すっごい凸凹コンビ)」 ホピ「フリーズさんはこんなとこで 本読んでたんですか?    それ、面白いですか?」 フリ「ん、これ?『空想科学読本』。バカバカし過ぎて 逆に面白いよ」 ホピ「ば、バカバカし過ぎてって…    立ちっぱなしで読むの 疲れないですか?」 フリ「教室で普通に読んでても 普通すぎてつまんないじゃん。    ならこういうとこで読んでれば    何か面白いことが起こるかもしれないでしょ」 フリ(ま、割と狙い通りって感じだけど) ホピ「え、何か言いました?」 フリ「ん、別に。あのさ、出来たらアンタの部活の話、    もうちょい聞かせてもらえるかな」 ホピ「あ…は、はいっ!そしたら 一緒に部室いきませんか?    チェーンさんもそこにいると思うんで!」 フリ「ん。いいよ」 ホピ「あ、でもごめんなさい、あと1周だけ待ってもらえますか?    サボったらチェーンさんにドヤされちゃう…!」 タッタッタ フリ「バレやしないだろうに…律儀な子」 <部室へ向かう階段> ホピ「はあ、はあ…ふ、フリーズさん大丈夫ですか?    部室まであとちょっとですから」 フリ「いやアタシより どう見てもアンタの方が疲れてるでしょ。    慣れないことするから」 ホピ「えへへ…でもこれが『限界に挑戦する』ってことだと思うんです。    それに思いっきり走るの、意外と気持ちよかったですw」 フリ「ふーん…」 ホピ(こうして並んで歩くと    フリーズさんって本当ちっちゃくて可愛いんだあ…) フリ「ねえアンタらの部活って 部員は何人くらいいんの」 ホピ「えと…まだ私と チェーンさんだけです」 フリ「…それ、部活って言えるの?」 ホピ「あはは…い、言えないかも…    あそだ、フリーズさんも もし良かったらうちの部に…!」 フリ「ストップ」 ホピ「え?」 フリ「静かに。めんどくさいのがいるよ」 シザース「ったくよお、メディカルのババア、      ちょっとぶつかったくらいで説教たれやがって!うぜーんだよ!」 ホピ「あ、あの人…」 フリ「ガラの悪さじゃ校内一、シザーススイッチ。    やり過ごした方が賢いよ」 シザース「あーマジいらつく。何かこう、スカッとすることねーかな」 ホピ「わ、私達の部室に入っていっちゃう…!」 フリ「どうせ飽きたら出てくだろうし。ここに隠れてよ    (てかあれが部室…ただの踊り場じゃん)」 シザース「…ん?なんだこの ダッセー旗」 ホピ「あっ…!そ、それダメ!!」 ダダッ フリ「ちょ、隠れてなって!」 シザース「あん?なんだテメーは」 ホピ(うわ…近くで見ると怖い…) ホピ「ああああのっ!それ、リミットブレイク部の大事な旗なんです!    か、かかか返していただけますかっ!!」 シザース「リミットブレイク部だあ?なんだそりゃ」 ホピ「か、返してもらえますか!」 シザース「なに?これそんな大事なんだ」 ホピ「は、はいっ!」 シザース「んじゃー仕方ねえな。ほらよ」 ポイッ ホピ「ありがとうございま…きゃうっ?!」 ガクッ コテン シザース「ひゃははw 俺の足も目に入らねーほど必死ってか」 ヒョイ ホピ「うう…か、返してくださいいっ!!」 コテン ドテン シザース「うっはw 運動神経ねーなおめー」 ズテン ホピ「ううっ…お、お願いです…私とチェーンさんの、大事な絆の…」 シザース「絆ぁ?ハッ くっだらねえ!      んな大事なモンなら、金庫にでもしまっとけっての。      シザース、オンっと」 ジャキン ホピ「あ…え、え…あの、まさか…」 シザース「安心しろや。ズタボロになっても 雑巾くらいには使えんだろw」 ホピ「や…やめてええええええ!!!」 フリ「…フリーズ、オン」 ヒュオオオオッ パキパキパキッ! シザース「つっ!い、痛え、冷てええっ!!      な、なにすんだテメェ!!」 フリ「…確かに ヘッタクソな落書きだよね。    そんなセンスゼロな旗のためにボロボロになっちゃって    バカみたいってアタシも思うよ」 ホピ(せ、センスゼロ…) フリ「でもさ。自分の憂さ晴らしのために    人の大切なものを踏みにじるアンタの方が、    その旗より 100万倍くだらない男だよね」 シザース「んだとこのチビ、黙って聞いてりゃあ!」 パキパキパキッ シザース「いでででで!み、右腕まで…!」 フリ「世の中にはね、絶対やっちゃいけないことってあるんだよ。    一つ、女の子を泣かせること。    一つ、人の身長にケチつけること」 ホピ(身長…気にしてたんだ…) フリ「知ってる?凍った人体って すっごい簡単に砕けるんだよ」 シザース「ううっ?!」 フリ「試して…あげよっか」 ギラリ ホピ(ふ、フリーズさん怖い、怖いよっ!) シザース「ち、畜生!覚えてやがれっ!」 ダダダダッ ホピ「フリーズさん…あ、ありがとう…!」 フリ「全く、アンタも無茶するよね。    こんなホコリまみれになっちゃって」 ホピ「えへへ、でも嬉しいです。旗も守れたし、    フリーズさんが、その…助けて、くれたし」 フリ「……」 ホピ「ご、ごごごめんなさい!変なコト言って!」 フリ「さっきの話の続きだけどさ」 ホピ「え?」 フリ「リミットブレイク部ってやつ。アタシも入ろっかな」 ホピ「えっ?!ほほホントですか?!!」 フリ「学園一のドジっ子が こんな必死になるコトにね。    ちょっと興味わいてきた」 ホピ「じゃ、じゃあ さっそくチェーンさんに…!」 チェン「ん?呼んだか?」 ドタドタ ホピ「あ、チェーンさん おかえりな…って、何ですかその荷物?!」 チェン「おう、明日からのお前の特訓メニュー用にな!」 ガシャン ホピ「ダンベルに、エキスパンダーに…    こ、これ全部私が使うの?!」 フリ「アンタ、この子をドラゴン・ゾディアーツとでも戦わせるつもり?」 チェン「ん、何だこのちんまいの」 フリ「ちんま…(ピキッ)」 ホピ「あああっ、チェチェチェーンさん!    紹介するね、フリーズさん!    リミットブレイク部に入りたいって!」 チェン「おっ、マジか?」 フリ「んーでもな…コイツが部長なんでしょ?    こんな脳味噌筋肉の下につくのもねえ」 チェン「の、脳味噌っておま…!」 ホピ「え…や、やめちゃうんですか?」 フリ「そうだなあ…アタシが会長ってことなら 考えてもいいよ。    そしたら このウドの大木の下じゃないしね」 チェン「な、なんだとぉ?!」 ホピ「は、はい決まりー!    フリーズ会長の入部けってー!」 チェン「おいホッピング、勝手に決めんな!」 ホピ「(ヒソヒソ)いいじゃない、チェーンさん!    肩書きなんてちっちゃなことだよ、仲間は多い方が楽しいよ」 チェン「でもよ、いきなり出てきて会長ってのはな…!」 ホピ「(ヒソヒソ)フリーズさんね、さっき私を助けてくれたんですよ。    部の旗も、悪い人から守ってくれたの」 チェン「ん?…そ、そうなのか」 ゴホン チェン「…しょうがねえ!ホッピングに免じて 入部許可してやる。     とーくーべーつーにな!ただしだ」 フリ「敬語使いなよ。会長のが立場上でしょ」 チェン「おまっ…!いいから聞け!     リミットブレイク部に入る以上はな、     何でもいいから挑戦してえこと!これがなきゃなんねえんだ」 ホピ「あ、そっか…」 チェン「いいか、これだけは譲れねえぞ!     どうだ、何かあんのか?!」 フリ「…ライジェネ2ノーダメクリア」 チェン「?!! あ、あん?」 ホピ「はいおっけー、合格でーす!」 チェン「お、おい待て!今の無しだろ!」 フリ「何でもいいって言ったじゃん。男に二言あんの?」 チェン「ぐっ…!」 フリ「じゃ、そーゆーことで」 ホピ「えへ、これで正式入部ですね!」 チェン「ぜ、全然納得いかねえが しょうがねえ…     おいお前らアレやれ、アレ!」 ホピ「あ、あれ?」 チェン「アレだよアレ、『友情のシルシ』!」 フリ「あー…あれ暑苦しいから 苦手なのよね」 ホピ(全否定?!) フリ「ま、でも…」 チラッ フリ「アンタとやるなら、いいか」 チェン「おい、今なんで俺みた?!」 ホピ「じゃ、やりましょやりましょ!」 ビシ バシ グッ グッ! フリ「今後ともよろしくね、ホッピング」 ホピ「あっ…は、はいっ、こちらこそ!    フリーズさ…えと、フリーズちゃん!」                   シュイン               ≪美少女スイッチホッピング〓